有限会社(特例有限会社)を株式会社に変える手続の中で、役員の任期に関して、特に注意を要することがあります。
それは、新しく株式会社を設立する際の役員の任期の設定の仕方によっては、有限会社時代の役員の任期が自動的に満了となって、退任となることがあるからです。
少し分かりづらいかもしれませんが、これは株式会社に変更をするにあたって新たに役員の任期を決めますが、その任期の起算点は、株式会社に移行してから新たに就任をした時ではなく、有限会社時代に就任した時であることが原因です。
下に具体例を挙げておきます。
平成8年7月1日 | 有限会社設立 | 取締役就任 |
平成19年8月1日 | 株式会社に商号変更。取締役の任期を10年と設定 | 就任から10年以上経過しているので、商号変更と同時に任期満了で、退任となる。新たに選任手続きをする必要がある。 |
平成29年○月○日 | 株式会社に商号変更してから10年後の事業年度の終了に関する定時株主総会の終結時 | 任期満了により、取締役を退任 |
このケース1のように、株式会社に変更する時に定めた任期を適用すると、すでに任期切れになっている場合には、商号変更の手続きの中で、任期切れになる取締役を選任し直すという手続きが必要になります。
平成13年4月1日 | 有限会社設立 | 取締役就任 |
平成19年8月1日 | 株式会社に商号変更。取締役の任期を10年と設定する。 | 取締役の任期は継続中 |
平成23年○月○日 | 有限会社を設立してから10年後の事業年度の終了に関する定時株主総会の終結時 | 任期満了により、取締役を退任 |
ケース2の場合は、株式会社に変更する時点では、まだ任期の途中であるので、商号変更の手続きの中で、取締役を選任し直すという手続きは不要になります。
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